ストーリー解説

相棒(劇場版)との同時鑑賞がオススメ

政界をも巻き込んだ一大スキャンダルが暴かれることになった「あの事件」を舞台にしたもうひとつの物語―。
都内で続発した謎の殺人事件と3万人のランナーと15万人の大観衆がひしめき合う東京ビッグシティマラソンを標的とした爆弾テロを防ぐため、特命係・杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)が奔走していたちょうどその時、警察庁の顔認証システムで爆弾テロ犯の行方を追っていた鑑識課・米沢守(六角精児)は、モニターに映った元妻・知子(紺野まひる)の姿に驚愕する。知子は数年前に、離婚届だけを残して米沢の前から姿を消していたのだ。

その翌日、その知子の遺体が見つかったというニュースが入るが、それは同名の別人であることが判明し、米沢は安堵する。しかし、現場には彼女の筆跡による遺書はあるのもの、青酸カリの服毒による自殺との結論で早急に幕引きを図る捜査方針になんらかの「裏」があると考えた米沢は、亡くなった知子の元夫である所轄の刑事・相原(萩原聖人)と連絡を取る。マラソン大会の翌日に会う予定だった妻が自殺をするわけがない、との相原の主張を聞いた米沢は何らかの事件に知子が巻き込まれて犠牲になったことを革新する。こうして二人だけによる極秘裏の捜査がはじまった。

自殺に見せかけた怨恨による殺人―。こう考えた二人は知子の勤務先だった警察の外郭団体・青少年防犯協会(青防協)で、同僚の早苗(片桐はいり)から話を聞く。早苗は、知子が人から恨まれるような性格ではないこと、さらに知子が理事長・設楽(伊武雅刀)から受けていたセクハラの件について、経理課長の天野(市川染五郎)に相談していたことを打ち明ける。セクハラが原因で知子は自殺したのか? 青防協に事件のカギがあると睨んだ二人だったが、同協会が警察の天下り先機関であることから、警視庁の上層部から捜査中止の圧力をかけられてしまう。

捜査への露骨な横槍、そして理事長・設楽が過去にセクハラで左遷されていた経歴があることをトリオ・ザ・捜一(捜査一課の伊丹・三浦・芹沢)から聞いた米沢と相原は疑念をより一層強くする。しかし、容疑者の線が濃い設楽には知子の死亡時に明確なアリバイがあったのだ。別の角度から事件へのとっかかりが必要だと考えた、二人は知子が残した日記に手掛かりがあるかもしれないとアパートへ赴く。そして部屋に仕掛けられていた盗聴器を発見するのだった。

他殺の疑いをさらに深めるが、組織犯罪対策5課・角田(山西惇)からの情報で、知子がネットで自殺に使用したとされる青酸カリを購入していたことを知る。「彼女がそんなことをするわけがない!」と二人は主張するが、天野は知子の横領の証拠となる預金通帳を差し出した。指紋、そして防犯カメラの映像が意味するのは、知子による犯行。しかし、その不自然さに気付いた二人は、監察の監視の目をかいくぐり、いちかばちかの罠を仕掛けるのだった!

キャスティング

おなじみのメンバーも勢ぞろい

警視庁の"特命係"に所属する杉下右京(水谷 豊)と神戸尊(及川光博)が活躍する人気刑事ドラマ「相棒」シリーズ(2011年末時点でシーズン10が放送中)。
その高い鑑識技術で特命係を影からサポートするのが、彼らのもう一人”相棒”とも呼べる米沢守(六角精児)です。その独特の風貌とユーモラスなキャラは、特命係の二人に次いで多くのファンを獲得しています。
ミステリー作家のハセベバクシンオーが、劇中のワンシーンで語られるだけだった米沢の”逃げた女房”に着目し、書き上げたのが小説「鑑識・米沢の事件簿〜幻の女房〜」です。グイグイ読ませると「相棒」ファンだけでなく、一般のミステリーファンも虜にした同作品は、発行部数20万部を突破し、2009年3月に映画化されました。

米沢守役には、ドラマ版「電車男」で強烈なインパクトを残し、数々のドラマや演劇で活躍する六角精児を起用。本作品が初主演となりますが、米沢のキャラクター設定と同様に鉄道マニアなのも面白いところ。得意のギターも作品中で披露しています。

冷静かつ飄々とした米沢とは対照的に、猪突猛進型の“相棒”相原役を演じるのは、映画「マークスの山」で日本アカデミー賞優秀助演男優賞とブルーリボン賞助演男優賞を、「CURE」で日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞した実力派俳優の萩原聖人。二人の元妻である同名の知子を二役で演じるのは紺野まひる。そのほか、市川染五郎、片桐はいり、伊武雅刀ら個性派が脇を固めています。もちろん、本家”相棒”の水谷 豊と寺脇康文をはじめ、鈴木砂羽、益戸育江、川原和久、大谷亮介、山中崇史、山西惇らレギュラー陣も総登場となっています。

監督は、本作品の原作者ハセベバクシンオーの父にして、ドラマ「相棒」シーズン2から作品を手塩にかけてきたベテラン・長谷部安春。氏は2009年6月14日に亡くなったため、本作品が遺作となっています。脚本を飯田武(櫻井武晴)が担当。今作は「相棒」史上初となる主題歌が添えられており、シリーズの大ファンであるエレファントカシマシが「絆」を熱唱しています。